2.大抗争とローズブレイド家

【大抗争】

ハデスは徐々にスラムの如く荒れていき、あらゆる問題を抱え続けた結果新地底歴1308年に大抗争と呼ばれるようになる、ハデスを治めることの出来る人間を求めた混乱が起こることになった。
我こそはと主張した奴のほとんどは暗殺され、復讐が復讐を呼び、屍があちこちに転がるようになった。武器も一般に流通しはじめ誰でも血を流せるようになったこの象徴的な戦争は30年で収束した。

【ローズブレイド家】

都市を支配する頽廃主義者の血族と、その傘下の者たち。大抗争を終わらせた功績から、三世代くらい前は英雄だの救世主だのと崇められていたが今では市民の共通の敵。
優秀な人材は常にどこか頭が可笑しい。こいつらの場合は、道徳が著しく欠けていたのだ。しかし一度手にした権力は簡単に奪えない。ことあるごとにこいつらが邪魔になるだろう。

【麻薬】

ローズブレイド家による最大の悪行、それがこの麻薬の蔓延だ。ちょっと落ち着きがなくなったりするものから、一度の使用で心臓が止まるものまで。これが厄介なのは、一般に流通する薬品に普通に含まれていることだ。都市に身を置く限りは絶対に使うことになる。絶対だ。
だから大抵のギャングは「弱いものなら使ってもいい」とか「一日に三回まで」とかそういうルールを独自に決めて、中毒に負けないように工夫している。
……それがまともに守れるかはまた別の話。

【脱出不可能の乱】

ローズブレイド家と市民の間に大きな亀裂が入ったとされる象徴の事件。実はハデスは地下から出られないわけではなく、大抗争の最中に地上に出て海に逃げた奴もいた。そういう事実があってローズブレイド家の堕落的で破滅的な政治から逃れようと地上を目指した者も少なくはなかった。
しかし、命からがら逃げ伸びた集団がこう言ったのだ。ローズブレイド家は俺たちをここに閉じ込めたと。外に出ようとした者が見せしめのように屍を連ねていた。老若男女構わず吊り上げられたそれを見て、彼らは穏やかに笑っていたと言う。
募っていた不信感はついに嵐を呼び、誰もがたちまち恐ろしくなって暴走を始めた。とにかくがむしゃらにハデスからの脱出を目指し、上の階層を目指し。
……結局、青い空を見れた者はいたのだろうか?暴動に参加した9割の人間は、元居た自分の住処に丁寧に送り返された。その四肢を根本からもがれ、体中に誹謗中傷を切り刻まれて、顔は痣だらけで腫れ上がった亡骸となって。